遊木くんの様子がおかしい
「ほんとしつこいなアイツ」
「あはは……でも良い人だね」
「まあな」
うざいけど。と遊木くんはニッと口角を上げて言ってみせる。
なんだかんだ仲良いよね、ほんと。
「和也くんも浴衣着てたね。女の子と来てるのかな?」
「かもなー。それかナンパ目的で着てるか」
「あぁ…。確かにかっこよかった。あれはモテる」
うんうんと頷きながら、さっきの和也くんを思い出す。
あんな女たらしじゃなかったら、私は和也くんのこと好きになっちゃってたのかな。
なんか変な感じ。
「……よし、そろそろ戻ろ」
「あ、うん! そうだね。花火始まっちゃう」
それから私達はベビーカステラを持って、皆が待つ広場へ向かい始めた。
広場は既に大勢の人で埋め尽くされていて、恵美達を探すのもやっとで。
遊木くんに支えられながら、なんとか目的地に到着する。
「おかえり〜! 2人ともありがとー!」
「そのままそこ座っていいよ」
私達以外のメンバーは揃っているようで、よく見るとさっき分かれたグループごとに座っていた。
皆に促されるまま、私と遊木くんは隣同士で座り込む。