遊木くんの様子がおかしい
――始業式やら何やらが終わって、本日最後のHRが始まる。
担任の先生は教壇に立つなり、持ってきた小さな箱をガサガサと揺らして皆に呼び掛ける。
「これから色々決めなきゃいけないんだけど、まず席替えしますー」
あぁ、やっぱり……。
だって皆席替えしたいって先生に訴えてたもんね。
それから順番にくじを引いていき、私は黒板に書かれた番号と自分の番号を照らし合わせた。
あ、1番後ろだ。
良い席……だけど、遊木くんは……。
「遊木くんっ」
「ん?」
「どこになった?」
「あっこ」
遊木くんは私にくじを見せながら、後ろの方の席を指差す。
……えっ!!
「うそ! すごい!」
「?」
「私遊木くんの後ろ!」
なんと、まあ、奇跡って起こるんですね!
また遊木くんと席近いことがこんなにも嬉しいなんて!
「え、すげぇ。もはや運命」
「ね!!」
「やったぜ〜」
そして私達は仲良く同じ方向へ机を移動し始めた。
あぁ、神様ありがとうございます。
しかも遊木くんの後ろの席だったら、自然にずっとその姿を見つめれるわけだし。
前みたいに隣の席でヒソヒソ話したりはできないけど、これはこれで都合が良い。
これを機に、もっと遊木くんと仲良くなれればいいなぁ。