遊木くんの様子がおかしい
移動が完了してホクホクと席に着くと、左隣から声を掛けられた。
「お、隣は三島さんか! よろしく〜」
「あ、依田くん! よろしくっ」
依田くんは遊木くんや大谷くんと仲が良い、あの男子グループの一人だ。
明るくて優しくて、かなり人から好かれやすいタイプ。
「遊木〜近いじゃーん」
「あぁ依田そこか。ええやんええやん」
「てかまた遊木と三島さん席近いし!」
「そうなんだよ。やばくね」
「やばすぎ! お前ら仕組んだだろ!」
「ちゃうちゃう、運命やで」
「いや運命て! ていうかなんで関西弁なんだよ」
そんな依田くんと遊木くんのやり取りが目の前で行われて、私は思わず吹き出してしまう。
あぁ、なんて平和な席。
こういうやり取りを間近で見れるなんて…。
それから席替えが完了すると、早速先生から連絡事項を伝えられる。
そしてその中には……
「――で、皆も知ってるだろうけど文化祭があります。まず実行委員決めて、出し物を決めまーす」
そう、文化祭。
先生の発言にクラス内はざわっと騒ぎ始めた。
しかし、「実行委員したい人〜」と先生が言葉を続けた途端、しんと静まり返ってしまう。