遊木くんの様子がおかしい












昼休みに廊下でたむろするのは1組の男子グループ。

そこに他クラスの男子や女子も混ざってガヤガヤと談笑を楽しんでいた。


そんな中、1人の女子が思い出したように口を開く。




「そーだ! この前ウチの後輩ちゃんが「遊木先輩ってどんな人ですか?」って聞いてきたの!」




その発言にざわっとどよめく一同。

視線はほうじ茶ラテを飲んでいた遊木に集中する。




「えっ、マジ?」
「おいおい! 遊木って後輩にモテてんの?」

「とりあえず変な奴だよって答えといた」

「でかした田辺」
「遊木ってちょこちょこモテるよな…」




そんな風に言われる中、当の本人は相変わらず平然とした表情でほうじ茶ラテを飲み続けていた。




「モテると言えば、大谷こそ目立つし雰囲気イケメンだしモテるよな」
「雰囲気だけな」

「おいそこ、念を押すんじゃねぇ」

「まぁ一番モテんのはやっぱ高木だよな〜」
「本物のイケメンだし」

「本物って何…? てか俺彼女できたよ」

「「は!?」」




イケメン高木の発言に、一同は更にザワついた。

何人かは知っている様子でニヤついて見せる。


そして高木の彼女について数人が盛り上がる中、一方で大谷が1組グループに向けて疑問を投げかけた。




「てか、今誰々が付き合ってるとか全然知らねーかも」

「あー確かに」
「例えば1組だと誰が彼氏彼女いる?」

「えーっと、青木とー松本さんとー…etc」

「小山っていんの?」

「いや、小山はいないはず。先輩追っ掛けてるっつってた」

「ふーん意外」


「あ、三島さんは?」




一人のそんな発言によって、再び視線は遊木に向けられる。

遊木はキョトンとしながら「ん?」と眉を少し上げてみせた。


そして「三島はいないよ」と口を開きかけた、その時。




「あ、三島さん彼氏いないってさ。今日聞いた」




依田が思い出したように、遊木より先に答えを話した。



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