遊木くんの様子がおかしい
「えっと……」
……どうしよう。
確かにちょうど誰か回れる人探してたけども。
鹿野くんだったら全然回れるし、むしろこの誘いは嬉しい。
でもさ……、
私遊木くんのこと好きなのに、他の男子と回るって……いいのかな?
別に遊木くんと付き合ってるわけじゃないけど、
なんか……後ろめたいというか……なんというか。
なんて悶々と考え込んでいると、鹿野くんが明るい声で言葉を繋いだ。
「あ、友達とも相談したいだろうし、返事は今度でいいよ!」
「え…」
「無理だったら全然断ってくれていいからね。俺も友達と回ることにするから」
きょとんとする私に、ニコッと爽やかな笑顔を向けてくれる鹿野くん。
「急にごめんね? それじゃあまた今度!」
そして鹿野くんは颯爽とその場を去って行ってしまった。
私はジュースを片手に持ったまま、しばらく鹿野くんの去った方向を見つめる。
……私が戸惑ってるの気付いてたよね、絶対。
ごめん鹿野くん…。
でも、ほんとにビックリしたんだ。
まさか私が男子から「一緒に回ろう」って誘われるなんて思ってなかったから。
なんで私を誘ったのか、とか。
遊木くんが好きなのに、とか。
ちょっと考えること多いな……あはは。
……メーデーメーデー、恵美さん!