遊木くんの様子がおかしい

なんでかな







それからというもの、遊木くんからは度々イタズラされるようになってしまうわけで。


自販機でジュースを買おうとしていた時は、

後ろを通り過ぎて行く男子グループの中から遊木くんが突然「わ!」っと驚かしてきたり。


急に「はい」と何かを手渡してきて、手の平を見ると飴を包んでたゴミだったり。



もはやイタズラというよりニュアンス的に“意地悪”に近い。


見てる感じ、そんなイタズラをしてるのはクラスでも私だけみたいで。


ほんとになんで私にそんなことするのか謎でしかない。




「本人に聞けばいいのに」


「……なんか、聞けないんだよね」




私がそう言うと、帰り支度を済ませた恵美が「なんで?」と首を傾げる。




「分かんないけど…タイミングなくて」


「ふーん。いつでも聞けると思うんだけどな」


「……う」


「まぁいつか聞いてみなよ、普通に教えてくれると思うし」


「…うん、そうする」




もしかしたら何も理由なんてないのかもしれないけど。

このままだとモヤモヤする一方だし、ただ単純に私が気になる。




「実は遊木くん、宇紗子のこと好きだったりして」


「え」




ちょ……急に何言い出すの!




「好きだからこそちょっかいかけたくなるんじゃない? 遊木くんも可愛いことすんじゃん」


「いやいや待って、勝手に話を進めないで!」


「でもそう考えたらしっくりこない?」


「…こない! だって絶対ないもん」




ムキになってそう迫ると、恵美はまた「なんで?」と首を傾げた。


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