帰国子女の彼と過ごす日々はきっと甘くなるだろう
〇陽翔の部屋


次の日、朝ごはんを持って陽翔の部屋に入った。

あれ?昨日帰った時と同じ姿勢だ



梨沙 「陽くん起きてる?おにぎり持ってきたよ」


陽翔 「……いらない」


布団からかすかに聞こえた。


梨沙 「どうして?」


陽翔 「どうしても、帰って」


梨沙 「何言ってるの?」


梨沙は布団をはぐると、真っ赤な顔をした陽くんがいた。


梨沙 「陽くん!熱あるじゃない」


陽翔 「寝てれば大丈夫」


梨沙 「薬もってくるね」


梨沙は急いで薬と水とおでこに貼るシートを家から持ってきた。


ピタッとおでこに貼り、陽くんを起こそうとする。


梨沙 「起きれる?」


陽翔 「無理」


梨沙は陽翔の首に手を回して起こそうとする。


陽翔 「触っちゃだめじゃん」


梨沙 「こんな時に何言ってんの!」


陽翔 「ずるいよ、僕が触りたい時はダメって言うのに」


もしかして昨日ハグしてたら熱に気づいてて早く薬のませれたかもしれない……


昨日からしんどかったのかな……



梨沙 「それは、状況が違うでしょ、病人なんだから」


陽翔 「だからほっておいて、うつるといけないから早く出ていって」


梨沙 「バカ!ほっとける訳ないでしょ!」

ビクッと陽翔はびっくりして体が反応した。


陽翔 「うっ……」


陽翔は涙を流していた。


梨沙 「陽くん、怒鳴ってごめん、もしかしてホームシック?」


陽翔 「違う」


梨沙 「ほら、薬飲む」


ゴクン


梨沙 「こんなに熱があるのに、まずは熱を下げる事よ、寝て!」


そういうと梨沙は部屋から出て行った。


陽翔 「…うっ…梨沙……やっぱり僕は小さい時から何も成長できてない…泣き虫でいつも梨沙に慰められていて……梨沙は覚えてないみたいだけど、昔みたいに梨沙に触れたい……悔しい……うっ…」



〇梨沙の家


梨沙 「ママー、陽くんが熱で食べれないみたいだからバナナとかプリンとか買ってくる」


ママ 「あら、疲れがでたのかしらね」


梨沙 「多分…昨日疲れたって言ってたのに気づいてあげれなかった……」




〇ドラッグストア

梨沙は自転車でドラッグストアに来ていた。

そういえば、昔も陽くんは熱を出すことが多かったような記憶が蘇ってきた。

えーっと、何だっけ、熱出した時にお見舞いって渡したら喜んでたものがあったような…

思い出せ、私!


とりあえず風邪薬とスポーツドリンク

柔らかくて消化のいいもの……

店をウロウロ歩く梨沙


梨沙 (あっ、これだ!)


棚から商品を取りレジに向かう。


自転車を飛ばして急いで帰ってきた。
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