帰国子女の彼と過ごす日々はきっと甘くなるだろう
〇公園

高校近くの公園で先輩を待っている梨沙


いつもは駅前で待ち合わせが多いのになと思いながら日陰のベンチを探して座っていた。

吉永 「梨沙、お待たせ」


先輩は何故か自転車でやってきた。

おそらくサークル用のスポーツタイプの自転車に服もピッタリとしたロードレース用


梨沙 「何で自転車?」


吉永 「暑いけどいい風が吹いてたから」


梨沙 (は?)


先輩は自転車を停めて梨沙の隣に座った。


梨沙 「楽しいですか?自転車」


吉永 「そうだね、体力もつくし、高校では部活やってなかったからやってたら運動って楽しかったんだなって今思うよ、梨沙は運動は?」


梨沙 「中学の時はバスケしてました」


吉永 「いいね!」


梨沙 「上手くはなかったのでもう高校ではいいかなと……」


吉永 「あれ?今日はお弁当は?」


梨沙 「暑くなったので、やめました」


吉永 「そっか、今日財布小さいのにしたからあまりお金持ってないんだよね」


梨沙 「私出しますよ」


吉永 「ごめん」

確かにいつもは長財布で出してくれていた。

まあ全然私が出してもいいのだが……


吉永 「少し歩こう」


〇自転車屋


公園からでると近くにある自転車屋に来た。


吉永 「ちょっと走ろうよ」


梨沙 「え?私スカート」


吉永 「ママチャリなら大丈夫だろ、ここはレンタルもしていてね」


先輩は腰のポーチから小銭で払ってくれた。


梨沙 「ゆっくり走ってくださいね」


吉永 「わかった」


最初は気持ちよかった……

でも今は夏、それについていくと坂道も上がっていき始めた


梨沙 「ハァハァ……きつっ」


さすがに自転車からおりて押しながら先輩について行った。


梨沙 「私がお金出すから電動自転車にするべきだった……ハァハァ」


〇高台


坂を登っただけあって到着したところは景色のいい公園の高台だった


先輩は自転車を早々と停めて景色を見ている。


吉永 「気持ちいいなぁ」


梨沙 「ハァハァ」


普段からインドア派の梨沙には全然わからなかった。


太らないようにストレッチや腹筋はするけど
体力には自信がないし、運動もあまり好きでは無い。


ポテチを食べる為にやっているだけなのだから……


吉永 「僕より若いんだから運動もしなくちゃね(笑)」


梨沙 「この季節じゃないですよ、暑い」


吉永 「すみれはついて来れるのにな」


ん?呼び捨て?

梨沙 「何で呼び捨てに変わってるんですか?」


吉永 「あぁ、サークル仲間は結構名前で呼んでるかな、僕だけじゃないよ」


梨沙 「じゃあ、すみれ先輩も先輩の事は名前?」


吉永 「そうだね」


梨沙 (彼女の私でもまだ呼べてないのに!)


梨沙 「あの……この前、金曜日にすみれ先輩と食事に行きましたよね?」


吉永 「金曜日?」

しばらく考えていた先輩は思い出したようで


吉永 「あの日は映画の無料チケットを先輩にもらったから行こうって誘われたかな」


普通彼女がいるのに行くのかな


友達と思えばいけるのかな



梨沙 「先輩は優しすぎます」


吉永 「ごめんね、ヤキモチかな?」


梨沙 「そんなんじゃないです」


少し会話が途切れた。


吉永 「梨沙……」


先輩が肩を抱いてきた。
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