もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 よく似た姉弟だと言われると、『姉ちゃんほどぼんやりした顔じゃない』と少しうれしそうにしながら言うところが、いくつになってもかわいいと思う。

 そんな大和だが、いつもは人のいい笑みを浮かべているのに、今はしかめっつらをしている。

 理由は聞かなくてもわかった。

「いやー! やまとくん、きらい!」

 イヤイヤ期真っ最中の私の息子、優史が大和の腕の中で大暴れしている。

 しかし二十七歳の男の腕を二歳の子供が振りほどくのは難しかったようだ。

「またユウがティッシュ引っ張り出してたよ。この前も怒ったのに」

「手の届かないところに置いてるはずなのにね。止めてくれてありがとう」

< 10 / 281 >

この作品をシェア

pagetop