もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました

「もう俺につきまとうな。……柚子の前にも、だ」

「私だって既婚者には興味ないですよーだ」

 子供っぽく舌を見せると、美里が俺に背を向ける。

 そして病院へ向かう途中、こちらを振り返った。

「本当に私じゃなくていいの?」

「俺が愛しているのはひとりだけだ」

 美里に向かって言った言葉は、なぜか俺自身にも深く刺さった。

「君にもそういう人が現れることを願っている」
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