もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「それはどうも。……じゃ、今度こそ帰るわね」
何度もしつこく結婚を迫ったにしては、あまりにもあっさりした態度だった。
そのうしろ姿が見えなくなってから、思ったことを口に出してしまう。
「本気でないなら求婚なんてするな」
風に流された言葉がまた俺自身の胸に刺さる。
そう、本気で愛していないなら求婚なんかするべきではない。
……だが俺は、愛している相手にこそ求婚すべきではない人間だ。