もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 蒼史さんの顔を見られず、優史を気遣う振りをして家の中に入る。

 距離があるくらいの話し方じゃないと離れがたくなってしまいそうだと言ったら、彼はこの契約結婚を破棄するだろうか。

 どんな反応が返ってくるか少し気になるも、蒼史さんはこれといった反応を見せずに視線で私を室内へ導いた。

 家の中はこざっぱりと清潔感があり、抜群に日あたりがよかった。

 私まで日向ぼっこをしたくなるほど心地よい陽射しが、間違いなく二十畳以上はあるリビングを包み込んでいる。

 なにもない、は言いすぎだけど、たしかにものが少ない家だ。

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