もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 床に落ちていた服で胸もとを隠す私に、背を向けた蒼史さんが尋ねる。

「は、はい。大丈夫です」

「それならいいが。……あの夜と似た反応をするものだから心配になった」

 上半身になにも身につけていない蒼史さんの声がやけにお腹に響く。

 彼がなにを言っているのか理解して、一気に顔に熱が集まった。

 私が男性と関係を持ったのはこれが二度目になる。どちらも相手は蒼史さんだ。

 初めてをすでに捧げたとはいっても、最後に熱を交わしてから四年が経っている。

 慣れない反応は蒼史さんを困らせたかもしれない。

「うまくできなくてすみません……」

「謝るな」

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