もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 大和も蒼史さん以上にかまっていたのに、父親がかまってくれているのだと無意識に理解しているのかもしれない。

 私と蒼史さんの関係が宙に浮いていても、優史が幸せならそれが一番だ。

「はい、どーぞ」

 優史が蒼史さんにオレンジ色のミニカーを渡し、さっき彼に渡したものをもぎ取る。

 気紛れなこの子に付き合うのは大変だけど、蒼史さんは嫌な顔をしない。

「どうも。次はこれを持っていればいいのか?」

「かせんパトロールカー」

「ん?」

「これちがう。かせんパトロールカー」

 優史が真面目な顔で蒼史さんに説明する。

「ラフテレーンクレーン。ローディングショベル。ダンプトラック」

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