もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
臆病者の後悔と、新しい夢
蒼史さんに真実を伝えようと決めたのに、彼とゆっくり話す時間も取れないままふた月が経過した。
「今日も帰らないから待っていなくていい」
「……そうですか。わかりました」
朝、いつものように蒼史さんを見送るため、玄関へ向かう。
このふた月、私は何度も彼と話そうとした。
だけど蒼史さんは本格的に八柳総合病院を継ぐための準備を始めたのもあり、これまでも充分激務だったのにますます忙しくなったらしい。
もとから朝は早く夜は遅い生活だったのが、最近は数日帰ってこないことも多かった。
さすがにふた月も粘っていれば、私にだってこの違和感に気づく。