もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 無事に手術を終えたら、今度こそ柚子とちゃんと向き合おう。

 彼女が許してくれるまで謝罪して、言えずにいた気持ちをすべて明かしたい。

 好きになってしまったから手放さなければならないと思って、別れを告げたこと。

 家庭を持てないと臆病な考えを抱いているくせに、どうしても傍にいてほしくて本心を隠したまま繋ぎ留めていたこと。

 君がいなくなったら生きていけないくらい愛していること。

 心を決めた瞬間、嘘のように視界がはっきりした。

 彼女に言えなかった言葉を告げるためなら、何十時間だってこの場に立ち続けよう。



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