もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 残酷でも俺は患者や親族に真実を伝えるべきだと思っている。

 大和は俺の言葉を聞くと、なぜか笑った。

「なんで先生なのかなぁ」

 そう言って俺に歩み寄り、優史を抱いていない方の手で胸ぐらを掴む。

「あんたが優史の父親なんだろ、八柳先生」

「……そうだ」

 周囲の看護師が慌てた様子を見せるが、軽く手を挙げて制する。

 俺は大和が感じて当然の怒りを受け止めなければならない。

「どうして姉ちゃんをひとりにしたんだよ。俺、あんたに感謝してたのに。脚を治してくれたから、苦労かけさせずに済んだって……。なのに、なんで」

「すまなかった」

「そんな言葉が聞きたいわけじゃねえんだよ!」

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