もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 短いひと言には、その言葉以上の感情がこもっているように聞こえる。

「先生──蒼史さんが手術を担当してくれたんですか?」

「そうだ。……すまなかった」

 なぜ謝るのかわからずに黙っていると、蒼史さんが軽く息を吐いた。

「君を傷つけたくないと思っていたのに」

 彼の視線の先は私の胸もとに向けられている。

 少し引きつった感触を覚え、襟を引っ張って中を確認してみた。

 ガーゼや包帯で覆われてはいるものの、生々しい手術の跡が見てとれる。

 彼の言動から、肌にメスを入れた件についての謝罪だと理解した。

「助けるためにしてくれたんですよね。ありがとうございました」

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