もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 でもそろそろ、我慢はいい結果を生まないのだと知ってほしい。

「もうあの夜と同じ間違いはしないと決めている。衝動のまま君を求めたりはしない」

「……本当に間違いだったと思っているんですか?」

 初めて彼が本心を見せた夜、私は優史をお腹に宿した。

 今の言葉は優史の存在を否定しているようで悲しくなる。

 蒼史さんは驚いたように私を見つめた後、考えた様子を見せてから首を左右に振った。

「いや。本心ではわかっているんだ。あの夜があったから、また君に出会えた。かわいい息子にだって。だが、それはそれとして考えなしに行動するのは問題だろう」

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