もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「じゃあ、幼馴染さんとなにもなかったのも、外で夫婦の演技をしなかったのも……」

「最初からその必要がなかったからだ。また君を繋ぎ留められるならそれだけでよかった」

「おかしいと思ってたんです……」

「だから言っただろう。俺は考えなしに行動しない方がいいんだ」

 あまり悪びれているようには聞こえなくて苦笑すると、また口づけられた。

「その割には夫婦らしくしようって言ったのに、私を放置してましたよね」

「君に溺れたくなかった」

 手のひらを指でくすぐられながらささやかれ、息を呑む。

「一度触れたら最後まで欲しくなる」

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