もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「俺を君と優史の家族の中に加えてもらえないか?」

 彼の笑顔を前にして、ますます胸がいっぱいになる。

 この人はこんなにも息子と似ていたのだと初めて知った。

「はい。私たちの家族になってください」

 まだうまく力が入らない腕を伸ばし、蒼史さんを抱きしめる。

「俺はこれからも優秀な医者でいるつもりだ。それと同時に、最高の夫と父親でいると誓おう」

「蒼史さんならなんの心配もなさそうですね」

「そうか? 今までの俺を知っているくせに、よくそんなことが言えるな」

 たぶん、好きだから贔屓目に見ている。

 それを言うのは少し恥ずかしくて、心の中に留めておいた。

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