もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「結婚式もちゃんとしよう。うちの両親を呼ぶつもりはないが」

 結婚式くらいは呼んでもいいんじゃないかと思ったけれど、家族を持たないと心に決めるほど傷ついた蒼史さんを思うと、軽々しくは言えなかった。

 ただ、彼が私たちという新しい家族と幸せになれたとき、あの冷たく感じた家に住む家族とも和解できたらいいと思う。

 私と優史の存在が凍り付いた彼らの関係を変えるきっかけになったら、これほどうれしいことはない。

「大和は呼んでもいいですよね? 招待しなかったら式場に乗り込んでくると思います」

「たしかにやりかねない」

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