もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 入院している間に優史には説明したけれど、やっぱり理解には時間がかかるようだ。

 認めたくない、というわけではなさそうなのが救いだろうか。

 蒼史さんももとから長期戦を覚悟していたようで、優史にパパと呼ばれなくても気にした様子はない。

「嫌われていないならそれでいい」

「少しずつ優史と過ごす時間も増やしていけたらいいですね。そのうち、ふたりでお留守番でもしてみますか?」

「……俺と優史で?」

「おるすばん?」

 親子が同じ角度で首を傾げたのを見て、つい笑ってしまった。

 あまり似ていないと思っていたふたりは、ときどきこんなふうに同じ仕草をする。

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