もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「ママ」

 呼ばれてそちらを見ると、優史が私に顔を寄せて頬擦りする。

 この子にはとても寂しい思いをさせてしまった。

 たったひと月とはいえ、母親と離れ離れで過ごすのは不安だっただろう。

「ママ、ちゅ!」

「ありがと。ユウくん、ちゅ」

 頬にかわいいキスが触れ、私も優史にお返しをする。

 くすぐったいのか、優史はくすくす笑って足をばたつかせた。

「蒼史さんもします?」

「え、俺もやるのか」

「パパですから。ね、ユウくん」

「ねー」

 優史の脇の下に手を入れ、軽く持ち上げて蒼史さんの膝の上に乗せる。

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