もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「その気持ちはうれしいですけど──」

 私が言い終える前に唇をついばまれる。

 てっきり頬にされるのだと思っていたから、まさかの位置にキスをされて顔が熱くなった。

「子供の前です……」

「優史は喜んでいるようだ」

 たしかに優史は私たちのキスを見て、手を叩いてはしゃいでいる。

「唇へのキスをほかの子にするようになったらどうするんですか?」

「特別な相手にしかしないものだと教えればいい」

 そう言いながら、蒼史さんは私の頬と耳にも口づけを落とした。

 そのキスにもたくさんの愛情がこもっていて、特別な相手だと思われていることにうれしさと恥ずかしさが込み上げる。

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