もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「ユウくんも!」

 目を閉じた優史が餌をねだる雛のように唇を尖らせる。

「ほら、もう覚えちゃったじゃないですか」

「……かわいいな」

 蒼史さんは優史にキスをする代わりに、尖らせた唇の先を指でつついた。

 それだけで満足したらしく、優史が自分の頬に手をあててにこにこ笑う。

「君もこの子もかわいすぎる」

「私も……?」

「俺にとって一番は柚子だけだ」

 再び顎を持ち上げられ、口づけを落とされる。

 さっきまでのかわいいものと違って、少しだけ色めいた空気を感じた。

「今夜は一緒に眠ろう」

「え、あ、はい」

 唐突なお誘いに動揺して声が裏返る。

< 280 / 281 >

この作品をシェア

pagetop