さよならの続き
ランチを食べながら、吉岡さんが唐突に言う。
「ねえ、元気がないのは西嶋のせい?それとも金井くん?」
口の中身を吹き出しそうになって、思わず押さえた。
私と陽太が付き合っていることを吉岡さんは知らないはずだ。
「渚から何か聞いてるんですか?」
「いや、渚とはそういう話しないよ。金井くんと付き合ってるのは俺が勝手に気づいてただけ」
けろっと言いながら吉岡さんはご飯を口に運ぶ。
『てっちゃんには嘘つけないの。すぐ見抜かれちゃう』
渚が前にそう言って笑っていたけど、実際吉岡さんはのほほんとしているように見えてとても鋭い人だ。
同じ部署にいたから、陽太と付き合っていることを見抜かれていてもおかしくはない。
「元気ないように見えますか?」
「正直、異動のときから不安定に見えた。金井くんがいなくなった上に急に西嶋が帰って来て、どっちが原因だとしても多少不安定にはなるよなーとは思ってたけど。でも、最近すごく思いつめた顔してる」
思いつめた顔…全く自覚がない。
吉岡さんが首を傾げて申し訳なさそうに笑う。
「ごめんね。最近渚はつわりで社食に来なくて星野さんと会えてないって言ってたから、余計なお世話かと思ったけどつい声かけちゃった」
ぽわんとした笑顔に心が解ける。
こういうさりげないやさしさが、『人たらし』たる所以なんだろうなあと思う。
「ねえ、元気がないのは西嶋のせい?それとも金井くん?」
口の中身を吹き出しそうになって、思わず押さえた。
私と陽太が付き合っていることを吉岡さんは知らないはずだ。
「渚から何か聞いてるんですか?」
「いや、渚とはそういう話しないよ。金井くんと付き合ってるのは俺が勝手に気づいてただけ」
けろっと言いながら吉岡さんはご飯を口に運ぶ。
『てっちゃんには嘘つけないの。すぐ見抜かれちゃう』
渚が前にそう言って笑っていたけど、実際吉岡さんはのほほんとしているように見えてとても鋭い人だ。
同じ部署にいたから、陽太と付き合っていることを見抜かれていてもおかしくはない。
「元気ないように見えますか?」
「正直、異動のときから不安定に見えた。金井くんがいなくなった上に急に西嶋が帰って来て、どっちが原因だとしても多少不安定にはなるよなーとは思ってたけど。でも、最近すごく思いつめた顔してる」
思いつめた顔…全く自覚がない。
吉岡さんが首を傾げて申し訳なさそうに笑う。
「ごめんね。最近渚はつわりで社食に来なくて星野さんと会えてないって言ってたから、余計なお世話かと思ったけどつい声かけちゃった」
ぽわんとした笑顔に心が解ける。
こういうさりげないやさしさが、『人たらし』たる所以なんだろうなあと思う。