さよならの続き
焼けたばかりのパンをトースターから出した陽太は、「熱っ」と言いながら無理やりパンを割いた。
少しこげたパンは、いびつに3分の2くらいの大きさになってしまった。
「ごめん。俺小さいほう食うよ」
「ううん。私、そんなに食べれないから、小さいほうでいい」
「そう?」
…あ。このシーン知ってる。
既視感かと思ったけど、すぐに私の脳は鮮明に記憶を再生した。
賑わう華やかな異世界。子どもみたいな笑顔。
『あ、これもおいしそうだな。有梨食べられる?』
『1個は無理ですよ。昼まで二日酔いだったのに』
『半分ならいける?』
『んー、半分なら』
『じゃあ半分こしよう』
熱いブタまん、うまく割れなくて3分の1をもらったんだ。
ため息が漏れる。
こういうところだ。
陽太を不安にさせる理由。私の罪悪感が消えない理由。
わかっているのに、いちいち記憶から引っ張り出してしまう自分が心底嫌になる。
「有梨?」
ハッとして陽太に目を向けると、顔を顰めて私を見ていた。
「やっぱり食欲ない?」
「ううん。食べれる。ありがとう」
パンが乗せられた皿を受け取ろうとしたけど、陽太はなぜか皿を握った手を離さない。
不思議に思って顔を上げると、唇が触れた。
皿が落ちる音がして、私の背に陽太の腕が回る。
キスはどんどん深くなり、不意に陽太の手が私の胸に伸びた。
「陽太、待って」
身体を押し返すと、陽太は再び顔を顰める。
「ごめん、今生理中だよ」
陽太は、そっか、と視線を落とす。
「ごめん、新しいの焼こうか」
「ううん、いいよ」
首を振ると、陽太は皿とパンを拾って立ち上がった。
その背中がなぜか悲しく見える。
私はいつまでも、陽太の不安を消せない。
少しこげたパンは、いびつに3分の2くらいの大きさになってしまった。
「ごめん。俺小さいほう食うよ」
「ううん。私、そんなに食べれないから、小さいほうでいい」
「そう?」
…あ。このシーン知ってる。
既視感かと思ったけど、すぐに私の脳は鮮明に記憶を再生した。
賑わう華やかな異世界。子どもみたいな笑顔。
『あ、これもおいしそうだな。有梨食べられる?』
『1個は無理ですよ。昼まで二日酔いだったのに』
『半分ならいける?』
『んー、半分なら』
『じゃあ半分こしよう』
熱いブタまん、うまく割れなくて3分の1をもらったんだ。
ため息が漏れる。
こういうところだ。
陽太を不安にさせる理由。私の罪悪感が消えない理由。
わかっているのに、いちいち記憶から引っ張り出してしまう自分が心底嫌になる。
「有梨?」
ハッとして陽太に目を向けると、顔を顰めて私を見ていた。
「やっぱり食欲ない?」
「ううん。食べれる。ありがとう」
パンが乗せられた皿を受け取ろうとしたけど、陽太はなぜか皿を握った手を離さない。
不思議に思って顔を上げると、唇が触れた。
皿が落ちる音がして、私の背に陽太の腕が回る。
キスはどんどん深くなり、不意に陽太の手が私の胸に伸びた。
「陽太、待って」
身体を押し返すと、陽太は再び顔を顰める。
「ごめん、今生理中だよ」
陽太は、そっか、と視線を落とす。
「ごめん、新しいの焼こうか」
「ううん、いいよ」
首を振ると、陽太は皿とパンを拾って立ち上がった。
その背中がなぜか悲しく見える。
私はいつまでも、陽太の不安を消せない。