さよならの続き
「距離を置く前は、私の誕生日に旅行でもしようかなんて話をしてた。でも、陽太はもう私の誕生日の話もしない」
「6月18日だよね。もう今月なのに」
「うん」
「金井くんに対して、まだ恋愛感情はある?」
「…ある、よ」
あるに決まっているじゃない、と即答するのが正解なのはわかっているのに、曖昧な言い方になってしまった。
「じゃあ西嶋さんのことはどう思ってる?」
「…過去を美化してるんだと思う。よくないよね、感傷に浸るの。もう歳なのかな」
笑ってみせたけど、渚はつられて笑ってはくれない。
「…本当に過去なの?」
「過去だよ。だってもう3年も前の話だもん」
渚のくりっとした大きな瞳に心の内を見透かされそうで、スプーンに目を落として大きな一欠片をすくった。
「…あ。あれって」
「え?」
渚は頬杖をついたまま窓ガラスの外をじっと見つめている。
私もその視線の先を追った。
「西嶋さんじゃない?」
渚の言葉と、私が長身の彼を見つけたタイミングはぴったり一緒だった。
「6月18日だよね。もう今月なのに」
「うん」
「金井くんに対して、まだ恋愛感情はある?」
「…ある、よ」
あるに決まっているじゃない、と即答するのが正解なのはわかっているのに、曖昧な言い方になってしまった。
「じゃあ西嶋さんのことはどう思ってる?」
「…過去を美化してるんだと思う。よくないよね、感傷に浸るの。もう歳なのかな」
笑ってみせたけど、渚はつられて笑ってはくれない。
「…本当に過去なの?」
「過去だよ。だってもう3年も前の話だもん」
渚のくりっとした大きな瞳に心の内を見透かされそうで、スプーンに目を落として大きな一欠片をすくった。
「…あ。あれって」
「え?」
渚は頬杖をついたまま窓ガラスの外をじっと見つめている。
私もその視線の先を追った。
「西嶋さんじゃない?」
渚の言葉と、私が長身の彼を見つけたタイミングはぴったり一緒だった。