さよならの続き
「…彼は何を考えてるんでしょうか。純粋に心配してくれてるのは伝わるんですけど、時々矛盾した言動をする。私にはよくわかりません」
「…うーん、そうだねえ」
吉岡さんは液晶の階数表示を見上げながら、曖昧に濁す。
こんな愚痴みたいなことを言われても、吉岡さんだって困るだろう。
反省しつつ1階へ到着して、お疲れさまでした、と会釈をして去ろうとしたとき。
「星野さん」
振り返ると、吉岡さんは真剣な表情で私を見ていた。
「今のままじゃ星野さんは振り回されて苦しいばかりだ。俺が口を出すべきじゃないのはわかってるけど、星野さんには理由を知る権利がある」
いつもの明るい彼とは違う深刻な声色。
言っている意味がよくわからず首を傾げると、吉岡さんは表情を崩さずに続けた。
「西嶋も今日は周りに合わせて早く帰るけど、アルコールを飲まないから飲み会には参加しないよ。もし星野さんに覚悟があるなら、部屋に行けば会えると思う」
「覚悟って…?」
「聞くことで、星野さんがますます苦しくなるかもしれない覚悟」
戸惑って黙る私に、吉岡さんは表情を緩めて困ったように微笑む。
「ごめんね。こんなこと言ったら、星野さんはますます混乱するよね。でも、西嶋も苦しい思いをしてるから、俺もう見てられなくてさ」
彼は腕時計を見て、お疲れ様、と明るい声で言って先に通用口を出て行った。
「…うーん、そうだねえ」
吉岡さんは液晶の階数表示を見上げながら、曖昧に濁す。
こんな愚痴みたいなことを言われても、吉岡さんだって困るだろう。
反省しつつ1階へ到着して、お疲れさまでした、と会釈をして去ろうとしたとき。
「星野さん」
振り返ると、吉岡さんは真剣な表情で私を見ていた。
「今のままじゃ星野さんは振り回されて苦しいばかりだ。俺が口を出すべきじゃないのはわかってるけど、星野さんには理由を知る権利がある」
いつもの明るい彼とは違う深刻な声色。
言っている意味がよくわからず首を傾げると、吉岡さんは表情を崩さずに続けた。
「西嶋も今日は周りに合わせて早く帰るけど、アルコールを飲まないから飲み会には参加しないよ。もし星野さんに覚悟があるなら、部屋に行けば会えると思う」
「覚悟って…?」
「聞くことで、星野さんがますます苦しくなるかもしれない覚悟」
戸惑って黙る私に、吉岡さんは表情を緩めて困ったように微笑む。
「ごめんね。こんなこと言ったら、星野さんはますます混乱するよね。でも、西嶋も苦しい思いをしてるから、俺もう見てられなくてさ」
彼は腕時計を見て、お疲れ様、と明るい声で言って先に通用口を出て行った。