さよならの続き
眠れないまま迎えた翌日の朝、部長が航平の元へ来て話をしていた。
部長が出てくるほど重大なトラブルがあったのかと不安に思ったけど、私の不安は違う形で的中した。
「はい、みんなちょっと聞いて」
部長は手を鳴らし、デスクワークをしている社員たちの注目を集める。
「急だが、6月末で西嶋課長が退職することになった」
周りが大きくざわめいた。
部長からアイコンタクトを受けた航平は、深々と頭を下げる。
「みなさん、短い間でしたがお世話になりました」
「えーなんで?」
「転職するのかな?」
女性たちのざわめきが、フィルターを通したみたいに遠くに聞こえる。
倒れそうだった。
もういっそ倒れてしまえばいいと思った。
頭を打って、記憶喪失にでもなって、彼のことも忘れてしまえばいいと。
思わず吉岡さんを振り返ったけど、目が合った吉岡さんはゆっくりと首を横に振った。
部長が出てくるほど重大なトラブルがあったのかと不安に思ったけど、私の不安は違う形で的中した。
「はい、みんなちょっと聞いて」
部長は手を鳴らし、デスクワークをしている社員たちの注目を集める。
「急だが、6月末で西嶋課長が退職することになった」
周りが大きくざわめいた。
部長からアイコンタクトを受けた航平は、深々と頭を下げる。
「みなさん、短い間でしたがお世話になりました」
「えーなんで?」
「転職するのかな?」
女性たちのざわめきが、フィルターを通したみたいに遠くに聞こえる。
倒れそうだった。
もういっそ倒れてしまえばいいと思った。
頭を打って、記憶喪失にでもなって、彼のことも忘れてしまえばいいと。
思わず吉岡さんを振り返ったけど、目が合った吉岡さんはゆっくりと首を横に振った。