さよならの続き
「本当は私と一緒にいたいって思ってくれてるんでしょう?私と同じ気持ちでいてくれてるんでしょう?」
「…帰らないなら送らないよ。金井くんに連絡取れるようにするから、その辺で待ってて」
「意地を張るなって言ったのはあなたじゃない!」

私の叫ぶ声に、驚いたように航平は振り返った。
その瞳が涙で揺らめいているのがわかる。
胸が張り裂けそうだ。

「ひとりで泣くくらいならいくらでも頼っていいって私に言ったじゃない。私だって同じように思ってるのに、どうして頼ってくれないの?」
「…有梨に迷惑をかけたくないんだ。わかってほしい」
「心配だけど、迷惑じゃない。これも航平が言った言葉だよ。人に言うだけ言っておいて、自分は該当しないなんて決めつけないで」

厳しい口調を放ちながらも、次々と流れ落ちる涙を止められない。
情けない。結局私は泣き虫なままで、航平よりも自分のほうが泣いている。

「今も昔も、私は航平に頼ってばかりだったけど、絶対強くなるから…航平をちゃんと支えられるようになるから…」

神様は意地悪だと思っていた。
再会しなければ、航平に余計な苦しみを背負わせることはなかったのにと。
だけど違う。
これは航平をこのまま独りにしないために、神様がくれたチャンスだ。

「私がそばにいるから…だからお願い、もう勝手に独りで泣かないで…」

肩を引き寄せられ、熱い腕が私を抱きしめた。

「有梨…」

潤んで掠れる声が、耳元を揺らす。
心許ないその背を、私も強く抱きしめ返した。

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