さよならの続き
部屋に入り、夢中でキスをかわした。
服を脱ぐ間も惜しいほど、互いを求める気持ちを止められない。
ここに泊まった時にどれだけ我慢していたんだろうと思うほど、情欲を帯び、理性を欠いた荒々しい彼を初めて見た。
思うままめちゃくちゃに抱いてほしい。それを全部受け入れたい。

「航平…」
「有梨…もっと有梨のことが欲しい」
「全部、あげるよ…」

甘い痺れに朦朧とする意識を必死に繋ぎとめようと、骨ばった背にしがみつく。
狂おしいほどの愛しさはもう言葉にすることもできない。
だけど、今互いが同じ想いでいることは確かに伝わってきて、ただ全身でその熱を感じ合った。

「有梨…」

吐息混じりに囁く航平の声が湿る。

「ずっとこうしたかった…」

きつくきつく抱きしめ合った。
次々と溢れる涙が、こめかみをつたって流れ落ちていく。

どうして気づかなかったんだろう。
このひとの温もりがあれば、私は世界一幸せだということに。

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