さよならの続き

Side 陽太


【Side 陽太】


吉岡さんを通じて西嶋さんから休憩室に呼び出されたのは、昨日の夕方のことだった。
ベンチに座って待っていた西嶋さんは、こちらを見て申し訳なさそうに口角を上げた。

「呼び出してごめんね、金井くん。話はすぐに終わるから、少し聞いてくれるかな」
「…はい」

少し距離を置いて、同じベンチに腰掛ける。

「俺のせいで、彼女との仲を邪魔してしまったこと、本当に悪かったと思ってる。ごめん」

視界の端で、西嶋さんが大きく頭を下げたのがわかった。
返事はできなかった。
最初のきっかけになったのは西嶋さんであることは間違いないのだ。
全く恨んでいないと言えば嘘になる。

「勝手なことを言ってるのはわかってる。だけど、まだ金井くんに彼女への気持ちが残ってるなら、よりを戻してくれないか?」

思わず顔を上げて西嶋さんを見た。
彼は懇願するような目を真っ直ぐに俺に向けている。

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