さよならの続き
眩しい日とともに、目に飛び込んできたのは、赤。
バスケットに入った赤いバラの花束だ。
それに目が釘付けになったまま、ドアを出てしゃがみ込んだ。
花束の間にメッセージカードが挟まっているのを見つけ、手に取った。

『誕生日おめでとう』

達筆なのに、癖があって右上がりになる。…航平の字だ。
きっとこの花束は、歳の数の30本なんだろう。
昨夜さんざん泣いたのに、また瞳が潤んでくる。

「有梨、赤いバラの花言葉知ってる?」
「…なに?」

隣にしゃがんだ陽太が微笑む。

「『あなたを愛しています』だよ」

涙腺が決壊して、また涙が止まらなくなる。

『愛してた』

ねえ、あれは自分に言い聞かせていただけだって思ってもいい?

『愛してる』

あれが本音なんだって、信じてもいい?


航平…会いたい。

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