さよならの続き
Epilogue
休日なのに、浜辺に人の姿はない。
いるのは私たちだけ。
いつ見ても美しいコントラストの海だけど、季節によって色がガラッと変わることをこの数年で発見した。
私は鮮やかな空を映す夏の海が一番好きだ。
梅雨明けが発表された今日は、からっと晴れいい天気。
まるであの日のように、空はどこまでも青く冴え渡っている。

波打ち際の少し手前に、小さな背中が見える。
しゃがみ込んで何かを探しているようだ。
見守っていたら、何かを手に握ってくるっと振り返り、私のほうへ駆けてきた。
砂にはまって、何度も転びそうになりながら。

「ママー、これ」

小さな手を広げて私に見せてくれたのは、ピンク色の貝殻だった。

「わあ、きれいだねえ。いいの見つけたね」

航太は自慢げにニッと笑う。
その笑顔は航平にそっくりだ。

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