さよならの続き
向こうもスマホを触っていたらしく、1コールで繋がった。

『もしもし、お疲れ』
「お疲れ様。ごめん、10分くらい待っててくれる?」
『いいよ、わかった』

短い会話で電話を切り、立ち上がった。
今日は金曜日。
私は仕事が終わっていったん自分のマンションに帰ってきたけど、彼は残業で会社に残っていた。
終わったら迎えに来てくれることになっていたのに、まさかのうたた寝。
クローゼットからニットのワンピースを引っ張り出す。
今夜は彼のマンションに泊まっていけるのに、明日用の着替えもまだ用意していない。
私のマンションの駐車場は契約者の数台分しか駐車スペースがない。
私自身は車を持っておらず契約していないから、彼の車も長くは停めておけないのだ。

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