さよならの続き
「実は車で送るほどの距離でもないと思うんだけどね」
苦笑いする航平に首を捻ったけど、謎はすぐに解けた。
航平がカーテンを開くと、窓の外に見慣れた看板の高層ビルが見えた。
きっと私のマンションまでは歩いてもさほど遠くはない。
「君が朦朧としてるときに住んでる場所を聞いたら、最寄り駅だけ答えたんだ。それなら俺の自宅の近くだからってのもあって、俺が送ることになったんだよ」
なるほど、と納得した。
航平の部屋を1LDKのようだ。
引っ越してきたばかりだというのもあるだろうけど、リビングにはローテーブルとテレビしかない。
航平が言った通りソファもなければラグもない。
もっと驚いたのは、部屋を出てすぐ青空駐車場が見える。つまりは1階だったのだ。
そして建物を見上げれば、新しそうではあるものの3階建ての普通のアパート。
「課長クラスになると、いいマンションに住むものじゃないんですか?」
「俺は立地と間取りが良ければなんでもいいと思って選んだだけだよ」
日に照らされた顔が飾り気なく笑う。
課長という立場には似つかわしくないけど、そういうことに頓着しないのは彼らしい。
「乗って」
航平がそう言って車に乗り込んだ。
3年前まで乗っていたのと変わらない白いセダンだ。
特徴のある車でもないのに、それは確かに航平の車の匂いがして、懐かしい気持ちになった。
車が走り出すと、ここが最寄り駅の大通りから一つ折れただけの場所だということがわかった。
私のマンションは大通りの反対側をいくつか折れた先にある。
歩いても15分くらいだろう。
苦笑いする航平に首を捻ったけど、謎はすぐに解けた。
航平がカーテンを開くと、窓の外に見慣れた看板の高層ビルが見えた。
きっと私のマンションまでは歩いてもさほど遠くはない。
「君が朦朧としてるときに住んでる場所を聞いたら、最寄り駅だけ答えたんだ。それなら俺の自宅の近くだからってのもあって、俺が送ることになったんだよ」
なるほど、と納得した。
航平の部屋を1LDKのようだ。
引っ越してきたばかりだというのもあるだろうけど、リビングにはローテーブルとテレビしかない。
航平が言った通りソファもなければラグもない。
もっと驚いたのは、部屋を出てすぐ青空駐車場が見える。つまりは1階だったのだ。
そして建物を見上げれば、新しそうではあるものの3階建ての普通のアパート。
「課長クラスになると、いいマンションに住むものじゃないんですか?」
「俺は立地と間取りが良ければなんでもいいと思って選んだだけだよ」
日に照らされた顔が飾り気なく笑う。
課長という立場には似つかわしくないけど、そういうことに頓着しないのは彼らしい。
「乗って」
航平がそう言って車に乗り込んだ。
3年前まで乗っていたのと変わらない白いセダンだ。
特徴のある車でもないのに、それは確かに航平の車の匂いがして、懐かしい気持ちになった。
車が走り出すと、ここが最寄り駅の大通りから一つ折れただけの場所だということがわかった。
私のマンションは大通りの反対側をいくつか折れた先にある。
歩いても15分くらいだろう。