さよならの続き
立ち並ぶ大小様々なビル。その中にひと際目立つヨットの帆の形のホテル。
あてもなく大きな通りを歩いて移動する。
「懐かしいなあ。なんか変わったか?工事とかしたかな」
ひとりで先に前を歩きながら、独り言とも会話とも取れない話し方をする。
まるで子供みたいに、キョロキョロ見渡したり、眩しそうに手をかざしながら空を見上げたりする。
昔と変わらないな、と思いながら笑みが零れた。
振り返った航平にドキンと胸が反応した。
私が追い付くのを待って、彼は口元を微笑ませたまま問いかける。
「電話の相手は彼氏?」
「…はい」
そっか、と彼はホッとしたように伏目がちに呟いた。
「よかった。幸せなんだな」
その表情に嘘が全くないのは伝わってきて、ますます混乱する。
言っていることとやっていることが矛盾している。
彼氏がいるって思っていたのなら、デートに誘うのはやっぱりおかしい。
航平は彼女がいるんだろうか。
独り暮らしみたいだし、左手の薬指に指輪はない。
周りの話を聞く限り、家庭があって単身赴任というわけでもなさそうだ。
あてもなく大きな通りを歩いて移動する。
「懐かしいなあ。なんか変わったか?工事とかしたかな」
ひとりで先に前を歩きながら、独り言とも会話とも取れない話し方をする。
まるで子供みたいに、キョロキョロ見渡したり、眩しそうに手をかざしながら空を見上げたりする。
昔と変わらないな、と思いながら笑みが零れた。
振り返った航平にドキンと胸が反応した。
私が追い付くのを待って、彼は口元を微笑ませたまま問いかける。
「電話の相手は彼氏?」
「…はい」
そっか、と彼はホッとしたように伏目がちに呟いた。
「よかった。幸せなんだな」
その表情に嘘が全くないのは伝わってきて、ますます混乱する。
言っていることとやっていることが矛盾している。
彼氏がいるって思っていたのなら、デートに誘うのはやっぱりおかしい。
航平は彼女がいるんだろうか。
独り暮らしみたいだし、左手の薬指に指輪はない。
周りの話を聞く限り、家庭があって単身赴任というわけでもなさそうだ。