さよならの続き
そのあとは中華街へ行った。

「ここをくぐると異世界だよね」

ワクワクした様子で門に足を踏み入れる。
大小たくさんの看板がたくさんあって、どのお店に何があるのかわからない。
適当に選んでお店に入るととても高価だったりするのだ。

「んー?こんな店あったっけ。浦島太郎な気分だ」

思わず笑ったけど、彼は眉を寄せて真面目に言っているようだ。
小籠包をかじり、その熱さにハフハフ言いながら持っていたペットボトルの水で喉を潤す。

「ほら、有梨も。熱いだろ」

渡されたペットボトルに間接キスなんて言葉がよぎって、中学生じゃあるまいしと自嘲した。
お店には入らず食べ歩きをしながら、不思議な絵柄の看板を見つけて笑ったり、新しい発見をしては感心したりしながら長い通りをぶらぶらと歩いた。

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