さよならの続き
帰りの車でほとんど会話はなかった。
私が眠そうに見えたからなのか、それとも彼自身も夢から覚めたと思ったからなのかはわからない。
誘ったのは航平だけど、恋人がいるのにそれを忘れて楽しんでいた私はずっとタチが悪い。
こんなの、浮気だと思われても仕方がない。
やわらかな青を失くした景色はあっという間に濃紺に染まる。
気温も急に低くなり、航平が途中で暖房を入れた。
まるでさっきまでとは別世界に来たようだ。
いや、本当の世界に戻って来たというほうが正しいのかもしれない。
マンションの前に着いて彼が口を開く。
「ありがとう、付き合ってくれて。楽しかった」
「あの…」
「もう誘わない。大丈夫だよ」
私が言おうとしていたことは最初から予想していたようだった。
「いい思い出になったよ。じゃあな、星野さん」
笑顔も声も、さっきよりずっと温度が低い。
胸が痛くなって鼻の奥がつんとする。
なぜか涙が出そうになって、思い切り頭を下げてドアを開けた。
車を降りて一度も振り返らずにマンションのエントランスへと入った。
私が眠そうに見えたからなのか、それとも彼自身も夢から覚めたと思ったからなのかはわからない。
誘ったのは航平だけど、恋人がいるのにそれを忘れて楽しんでいた私はずっとタチが悪い。
こんなの、浮気だと思われても仕方がない。
やわらかな青を失くした景色はあっという間に濃紺に染まる。
気温も急に低くなり、航平が途中で暖房を入れた。
まるでさっきまでとは別世界に来たようだ。
いや、本当の世界に戻って来たというほうが正しいのかもしれない。
マンションの前に着いて彼が口を開く。
「ありがとう、付き合ってくれて。楽しかった」
「あの…」
「もう誘わない。大丈夫だよ」
私が言おうとしていたことは最初から予想していたようだった。
「いい思い出になったよ。じゃあな、星野さん」
笑顔も声も、さっきよりずっと温度が低い。
胸が痛くなって鼻の奥がつんとする。
なぜか涙が出そうになって、思い切り頭を下げてドアを開けた。
車を降りて一度も振り返らずにマンションのエントランスへと入った。