さよならの続き
「遅くなってごめんね」
「いや、どうせ寝てたんだろ。会社出た時のメッセージも既読になってなかったし」
「うん。図星」
「有梨はよく寝る子だからな」

愉快げに笑う陽太の横顔が、メーターパネルの光に照らされる。
ワックスで散らした短髪に、整ったEライン。
彼が纏う爽やかで清潔感のある雰囲気は、営業にはぴったりだと思う。

「でも仮眠取って正解だったかもよ。久しぶりだから、今日は寝かさないし」
「陽太だって疲れてるんだから、そんなに体力持たないでしょ」
「疲れてるからこそってのもあるんだよ、男は」
「そういうの私にはよくわかんない」

だろうな、と陽太はまたくすくす笑う。



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