さよならの続き
安田くんは陽太が教育係をしていた後輩で、とても仲がいい。
もしかしたら陽太は、安田くんには付き合っていることを打ち明けていたのかもしれない。

「何にもないよな?有梨のそばにいて酒を勧めてたのは須原さんたちだって聞いたし」
「あるわけないでしょ。最初に挨拶して以来なんの面識もない相手だし」
「…そっか。そうだよな」

笑い飛ばすように言ったら陽太が安堵したように表情を緩め、私の中で罪悪感がまたむくむくと膨らんだ。

私、恋人に平気でこんな嘘をついて笑っていられるような人間だったの?

不穏な心臓の音が全身に響き、心に重い鉛が溜まっていく。
陽太が車で様子がおかしかった原因はこれだったんだろう。
私が言うのを待っていたのかもしれない。
だけど安田くんが陽太に言わなかったら、私からは絶対に言わなかった。

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