さよならの続き
数日後、陽太の仕事が早く終わったためデートをすることになった。
と言っても翌日も仕事のため、外食をして陽太の家に行くというだけのことだ。
陽太はこの前のことがなかったかのように普通に接してくれるし、私もそうあるように努めた。
『ごめん』なんて言葉を繰り返したところで意味がない。
互いにいつまでも囚われていても何も生まれない。
暗黙の了解のようなものが、私たちの間に流れていた。

「あー腹いっぱい」
「そうだね。ちょっと多いよね、あのお店」
「おいしいんだけどな」

和定食の店で食事をしたあと、コンビニで缶ビールを買って陽太の部屋へ行った。
乾杯して、陽太はチャンネルを替えながら不満げな顔をする。

「んー、おもしろそうなのがないなあ」

結局テレビを消して、買ってきたピーナッツをつまんだ。
なんのBGMもない中、無言の時間が続く。
いつもなら一緒にいても沈黙は気にならないのに、今日は気まずい。
きっとそれは陽太に伝わってしまっているだろうし、彼も同じだと思う。

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