さよならの続き
距離を置いている間に、陽太との交際1年の記念日が過ぎていた。
『俺と付き合ってくれないかな』
『…うん。お願いします』
安堵して照れくさそうに笑った顔を、今でも覚えている。
係長が私のデスクにやってきたのは、夕方17時を回ってからのことだった。
医事情報管理課から、この前のエラーの件で書類が回って来たのだ。
「え?今からですか?」
「悪いね、今日中だったの忘れてて。頼むよ」
係長は全く悪気がなさそうに書類だけ置いて去って行く。
今日中なんて簡単に言うけど、ちょうどMRも帰ってきたりしてシステムが重くなる時間帯だ。
せめてもっと早く気づいて渡してくれればいいのに。
「戻りましたー」
「お疲れ様です」
スーツの肩を濡らして帰って来たのは八代さんだ。
「星野さん、もう20時ですよ?なんかあったんですか?」
「ええ、係長からの頼まれごとで…」
チラッと係長の席を見るけど、当然ながら彼はとっくに帰ってしまっている。
「早めに帰ったほうがいいですよ。外大雨なので」
「そうなんですか。折り畳み傘持ってきてたかなあ」
雨の音なんて気にしていなかったけど、よく見たら窓は水滴だらけだ。
『俺と付き合ってくれないかな』
『…うん。お願いします』
安堵して照れくさそうに笑った顔を、今でも覚えている。
係長が私のデスクにやってきたのは、夕方17時を回ってからのことだった。
医事情報管理課から、この前のエラーの件で書類が回って来たのだ。
「え?今からですか?」
「悪いね、今日中だったの忘れてて。頼むよ」
係長は全く悪気がなさそうに書類だけ置いて去って行く。
今日中なんて簡単に言うけど、ちょうどMRも帰ってきたりしてシステムが重くなる時間帯だ。
せめてもっと早く気づいて渡してくれればいいのに。
「戻りましたー」
「お疲れ様です」
スーツの肩を濡らして帰って来たのは八代さんだ。
「星野さん、もう20時ですよ?なんかあったんですか?」
「ええ、係長からの頼まれごとで…」
チラッと係長の席を見るけど、当然ながら彼はとっくに帰ってしまっている。
「早めに帰ったほうがいいですよ。外大雨なので」
「そうなんですか。折り畳み傘持ってきてたかなあ」
雨の音なんて気にしていなかったけど、よく見たら窓は水滴だらけだ。