おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「そういや、次の推しの目星はついてんのか?」
「それについては私も考えたんだよねー。この間、珠江おばさんにも言われたんだけど、もし私と香月くんの間に女の子が生まれたらコガネジェンヌになるように育ててみないかって。我が子が推しって最強じゃないかと思うんですが……どうですか?」
香月によく似た女の子なら間違いなく黄金塚歌劇団の覇権を取れるポテンシャルを秘めている。自分の子供だということを差し引いても推せる。
香月の目が大きく見開く。
「……誘ってるのか?」
「そうだよ?」
千春はチラチラと悩ましげな視線を送った。
誤解が解けた後から何度も身体を重ねてきたけれど、香月は未だに避妊を続けていた。それはもちろん千春の身体を思ってのことだが、千春だって可愛い我が子に会ってみたい。
「子供が欲しいならやることはひとつだな」
「あ、の……?香月くん?」
「自分で煽ったんだから責任とれよ?」
香月は駅の改札には入らず、繁華街をスイスイと縫うように歩いていった。
もう少しだけ引退公演の余韻に浸りたいと思っていたけれど、人生初のラブホテルに連れ込まれ、愛する夫から甘い口づけを受けるとそんな気持ちも泡と消える。
ベッドに押し倒され、するすると服が脱がせられていく。