死神のマリアージュ
「女の子たちの中で、この子は初めて会うわね?」
「あ、佐渡真珠です。初めまして、ユキオくん!」
「シンジュちゃんって言うの?なんて美しい名前。それにシンジュちゃんはとっても愛らしいわ」
「ありがとうございます。えっと、女子のみんなはよるちゃんちに来たことあるの?」
「うん」「バレンタインのチョコ作りに」
「そのときユキオくんにご指導してもらったんだー」
「そっか」
「ねえみんな、来年もしようよ!ユキおじさん、いい?」
「他ならない姪っ子の頼みですもの、もちろんいいわよ。みんな、2月最初の土曜日は空けといてね!」
「やったあ!これで私の“彼”もイチコロよぅ!」
「とか言って、自分で食べるんじゃないのお?」
「そりゃ一つくらいは」
「てかトトさま、彼いたの!?」
「はいはいっ、恋バナは後に取っといて~」
「一番“美味しい”ところだから~」「そ~ゆ~ことっ」
「ほなよるさんとナノカさんて、一番好きな食べ物は最後に食べるタイプですの?」
「うーん、そうだねえ・・・時と場合によるかな」
「私も。暖かいほうが美味しい食べ物は先に食べる、みたいな」
「なるほどねえ」
「はいはいっ、みんなー、今日のメインはピザよ!これならみんな食べられるでしょう?」
「うを~!!」「いい匂いが・・」「待ちきれませーん!」
「もう少しで焼きあがるから、それまでテーブルにあるものをいろいろつまんでいてちょーだい。ミヤコちゃん、飲みものの準備をお願いしてもいいかしら」
「うんっ」
「あーオジサンからみんなに一つ、ルール言っとくぜ~。写真撮影は基本禁止。理由は分かるよな?」
「プライバシーの保護ですね」
「ご名答。テーブルに乗ってる料理くらいなら写真撮っても良いが、うちと特定できるような物や建物内外の撮影は禁止。人の場合は相手の許可を得てから写真や動画を撮ること。ただしそれをSNS系にアップするのは止めとけ。おまえらまだ未成年だしな。裁判とか後処理とか、いろいろめんどくせ-から」
「料理の写真撮って、万が一インスタとかにアップするときは、うちとわかるような場所とか、人の名前は書かないでね。もちろんみんな、そのあたりのことは心得てると思うけど。念のため」
「了解で~す!」
「最低限守るべきソーシャルメディアエチケットだよね」と言うちなっちゃんに、私は「うん」と言った。
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