死神のマリアージュ
「もしかしてあなたは、魁界人(さきがけかいと)、くん?」
「うんっ、そうだよまーちゃん!」と言った界人くんが、ここで立ち止まった。

「こんな形だけど。久しぶり、まーちゃん」と言った界人くんの声は、とても嬉しそうな響きがあって、私を見ている顔は、実際、ニコッと微笑んでいるのが分かる。
そして界人くんは、安定したリズムを保ちながら、再び歩き出した。

「うん」
「まーちゃんとまた会えて、ホント嬉しい」
「界人くん、かなり変わったね、見た目が。最初見たとき誰か分かんなかった」
「さっき“誰“って言ったよな?」
「ホントに分かんなかったから。でも“まーちゃん”で、もしかして・・と思った。背、伸びたね。私よりも高くなってるし、声も低くなってる」
「そりゃあ9年の間に俺も成長するって。今も成長期だし」
「私はこれ以上伸びないみたい」と私が言ったとき、界人くんがまた立ち止まった。

いつの間にか男子保健室に着いている。
他に「患者」がいなければいいんだけど・・・。

界人くんは、私を姫抱っこしたままで器用にノックしてから、男子保健室のドアを開けた。
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