死神のマリアージュ
「親の部屋にはミニキッチンがあるよ。でも湯沸かして茶を飲むときくらいしか使ってなさげで、普段みんなが使ってるメインのキッチンが一つある」「ふーん」
「じゃあメインのキッチンは、やっぱ料理スタジオみたいにデッカくて、最新家電が勢ぞろいしてるの?」「ステンレスがピカピカに光ってるレストランの厨房、みたいな」
「鍋とかお皿とか、たくさん並んでて」「そーそー」
「普通だと思う。少なくともうちのキッチンは、よるちゃんちのキッチンより狭いし、最新家電とかないし」
「えーっ!?それで雅希は毎日大人数の食事作ってんの!?」
「てかフツーサイズのフツーのキッチンで作れるの?」
「作れるよ」
「ワタシはここでお料理教室を開いている以上、やっぱりキッチンはある程度のスペースがないと、生徒さんたちと一緒にお料理したり、お食事をいただくことができないから」
「よるちゃんちのキッチンはここだけ?」
「うん。うちのキッチンは、自宅用兼、ユキおじさんのお教室兼研究所だよ」
「料理が“研究”!?」
「でも分かる。まーがキッチンにこもって料理作ってくれてるとき、なんかの実験とか研究してるような感じってーか。淡々黙々とこなしてるんだよなー。ラクーにやってるように見えて、実はすげー複雑、みたいな」
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