死神のマリアージュ
「分かるわ。みんな、エネルギーと栄養がたくさんある、質の良いものをキチンと摂っているようね。太り過ぎな子、逆にやせ過ぎてる子が一人もいない。お肌と髪の毛のツヤとハリ、そしてみずみずしさがあって、年齢に合った健やかさをしっかりキープできてるわ。爪も健康そうだし、目にも濁りがなくて輝いてる。食べ方や食べる姿もスマートで美しいわ。よく噛んで食べる、音を立てない、口の中に詰め込み過ぎない。そういった基本的な食のマナーがちゃんと身についていて。さすが、教養高い特進クラスの子たちね。ビャッコくんはさっきも言ったけど、服を着る土台になる体型と骨格がしっかり、そしてガッシリと作られてるわ。きっとお母さまがお料理上手なのね」
「すっげー。そこまで分かるんだ!」
「分かるわよ。ビャッコくんは背も高いからモデル向きね。運動神経も良さそう。ダンスでも習っているのかしら?」
「マジッ!?よるっ、おまえユキオくんに裏情報流したのか!?」「流してないよ」
「てか、ダンスしてるのは“裏”情報なんだ」
「ミヤコちゃんからは何も聞いてないわよ。ワタシはただ、ビャッコくんの体つきと服装を見てそうかなーと想像しただけ」
「ユキオくんすっげー!」「神レベル!」
「シノブくんは運動もできる子のようだけど、絵を描くことが好きなんじゃない?」
「・・・マジで、なぜに分かったんすか」
「手。厳密にいうと、手の指ね。悠里くん、ってミヤコちゃんのお父さんだけど」
「俺の双子の兄貴でもある」
「そうね。悠里くんと似たような指の形だから。ときどき絵を描いているのなって想像してみたのよ」
「うわすげーや。俺、鳥肌立ったわ」「やっぱユキオくんは神!」
「てか、よるのお父さんって画家か」
「ううん。趣味でときどき絵を描いてるって感じ。最初にも言ったけど、お父さんもセミリタイアしてるほぼ無職だから。でもお父さん、絵を描くのとても上手だよ。そうだっ。絵、見る?」と聞いたよるちゃんに、忍は「見る!」と即答して、私も「見たい」と言った。
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